■人類が滅亡しなかった、人類滅亡を予言したとされる四行詩
第10巻72番の詩は、世界滅亡を予言した詩と強く信じ込まれていました。
これは、五島勉著『ノストラダムスの大予言』の影響によるところです。
年は一九九九年と七ヶ月
恐怖の大王が天より姿を現わすだろう
彼はアンゴルモアの大王を蘇生させ
その前後は火星が幸せに支配する
結局のところ、1999年の7~8月には大した出来事はありませんでした。
もちろん、人類も滅亡していません。
予言が外れただけなのか、他の出来事を予言したものなのか…。
真相やいかに…です。
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■世界規模の出来事が起きるたびに話題に登るノストラダムスの予言
ノストラダムスの予言を信じる人は決まって「予言の的中率はかなり高い」と言います。
一方で、記述が抽象的すぎるため、予言の内容を事前に解釈するのはほぼ不可能です。
○大事件のたびにこじつけられる「恐怖の大王」
その後、「恐怖の大王」はいろいろな事件の後に「待ってました!」とばかりに登場することになります。
たとえば、2001年のアメリカ同時多発テロがその1つ。
テロが発生した2001年は、2000+1となるので、ノストラダムスが「1999年」をアナグラム(文字入れ替え)的に2000-1としたのではないか?という理屈です。
なるほど、そうなると確かに「恐怖の大王」の意味が成り立ちます。
○「アンゴルモアの大王」はアルカイダのウサマ・ビン・ラディン氏???
ちなみに、「アンゴルモアの大王」は、同時多発テロの首謀者とされるアルカイダのウサマ・ビンラディン氏のことではないか?とこじつけられました。
アンゴルモアの大王=モンゴルの大王(アナグラム)=ジンギス・カン
ここまでの解釈は良いのですが、ここからがこじつけとなります。
モンゴル人=アジア人=東南アジア人=ビン・ラディン氏
みたいな感じです。
○恐怖の大王=COVID-19と豪語する人も…
そして、今回の新型コロナウイルスの蔓延により、案の定、恐怖の大王をCOVID-19とこじつける人が現れています…(汗)。
大抵が、「冒頭の1999は”COVID-19″のアナグラムだ」という理屈です。
まあ、ノストラダムスの予言は解釈をすること自体が面白さの1つ。
いろいろな意見があった方が楽しめるともいえますので、これもりっぱな1つの解釈です。
■ノストラダムスは真の預言者なのか?
とりあえず、8巻以降を偽作とする説に関しては、今回は触れないことにします。
ノストラダムス自身が生前に執筆していた可能性も十分にあるからです。
○ノストラダムスを真の予言者か、否かを判断する2つの考え方
ノストラダムスの予言の根拠は大きく分けて2つの考え方があります。
これは16世紀の刊行直後から語られていることで、以下の通りです。
- 真の預言者として未来の光景が脳裏に浮かんでいたとする説。つまり、本物の予言者。
- 過去の事件や災害をあたかも「予言」の如く四行詩としてまとめたとする説。つまり嘘の予言者。
大変わかりやすい2分割ですね。(笑)
ちなみに、ノストラダムス本人は当然<1>を主張しています。
また、<2>に関しては、すでに存在していた予言書(たとえば聖書の『ヨハネ黙示録』など)を参照して四行詩を作ったとする説もあるのです。
○第6巻100番の唯一のラテン語の詩は他文書からの引用と解明された
ちなみに、第6巻100番(6巻一番最後)の四行詩は、唯一ラテン語で記述されている詩で、近年までさまざまな推測が立てられてきました。
しかし、現在では他の文書(クリニトゥス『栄えある学識について』/1504年)からの引用アレンジであることが明らかにされています。
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■ノストラダムスの予言の根拠を語るもう1つの考え方
実は、予言の根拠に関してはもう1つの考え方があります。
それは前述の<1>と<2>が混在していたとする説。
つまり、「ノストラダムスは本物の予言者であることは間違いないが、一部の詩だけ、ちゃっかり他から引用アレンジをしていた」という考え方です。
私はもっぱらこの考え方を持っています。
ともあれ、前置きが大変長くなりましたが、次のページで新型コロナウイルスを予言したと思われる3つの四行詩を紹介したいと思います。