■仲直りは謎の全裸ジャンケン
程なくして、高田延彦と武藤敬司がロビーに現れた。
「前田さん、俺が間に入るんで、武藤と仲直りしてやってください。」
どうやら武藤も高田と深く語り合っていたようだ。
高田から前田に提案がなされ、前田はそれを受け入れる。
ここに前田日明 vs 武藤敬司の泥酔乱闘対決は収束することになった…と思われた。
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○前田のメチャクチャな提案と坂口の無謀な承諾
「喧嘩は終わったので、最後にゲームして帰りたいです!」
前田日明が突然、坂口征二に言い出したのだ。
前田が提案したルールはこうだ。
旅館1階のロビーには、伊万里焼き(と思われる)でっかい壺が置いてある。
前田と武藤でジャンケンをし、買った方がこの壺で相手の顔を殴って肘ついたら負け、というとんでもないルール。
しかも、いうまでもなく壺は旅館の備品なのだ。
その場にいた坂口征二もさすがに止めるだろうと思いきや、
「だったら、それ1回やって終わりだ!さっさとやれ!」
と言い放った。
そしてここで、前田日明、武藤敬司、そして仲裁の高田延彦の3人が服を脱いで全裸の状態となった。
フル○ンのスッポンポン、しかも旅館の正面入口である。
(注:なぜ全裸になったのかの理由は「仲直りだから裸になる」というよくわからない理由だったらしい)
坂口は、古舘伊知郎に対し「古舘さん、司会やって」とのまさかのオファーをしてきた。
一部始終を見ていた古舘だったが、坂口からの依頼はさすがに断れない。
動揺するも司会進行をすることになる。
「それじゃいくよ!恨みっこなしで。喧嘩終わったんだから、このゲーム一回こっきりね!ジャンケンポン!」
ジャンケンは前田が勝利!
ルール通り壺を片手に武藤に突進、武藤の額めがけて壺を叩きつけた。
ガッチャ-ん!
壺は無残にも炸裂、武藤の額からは血が滴り、そして、両膝を突いてしまった。
「勝ったー!!これで終わり終わりー!ノーサイド!!」
前田は喜び叫び、泥酔場外乱闘試合はここに終了するのだった。
○諸説がある「最後のジャンケン」
尚、この「最後のジャンケン」に関しては諸説がある。
今回の「顔面壺ノーサイド戦」は古舘伊知郎の証言によるもので、2016年7月9日に『人志松本のすべらない話』(フジテレビ)で披露されたエピソード。
もう1つの説は、当人である前田日明と武藤敬司が2019年8月26日に後楽園ホールで行われたトークバトルで語り合っている。
そのときのエピソードでは、「壺」の話は出ておらず、何度かのジャンケンで数回殴り合っただけで終わった、という話だった。
ただし、いずれも「全裸の3人がジャンケンで殴り合う」という部分は一致している。
ちなみに、このトークバトルは試合終了後に行われたスペシャルステージで、このときの試合の解説者は、当時UWF勢の1人として宴会に参加していた山崎一夫である。
山崎は、2人のトークバトルにも部分的に「乱入」していた。
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■デカイ連中をなんとかタクシーに押し込む
ともあれ、「顔面壺ノーサイド戦」は無事(?)幕を閉じた。
宴会が終わればあとは帰るだけ。
UWF勢は宿に帰るためにタクシーを手配することになった。
普通であれば電話で呼べばOKだが、この頃はまだ携帯電話は普及していない時代。
しかも全員が泥酔している。
全裸で旅館を飛び出しタクシーを止めようとする者、タクシーが止まってくれず道路の真ん中に座り込む者など、めちゃくちゃな状態である。
しかも、外はかなり強い雨が降る土砂降りの状態だった。
(注:さすがにこのとき、パンツは履いていたらしい)
見かねた古舘伊知郎が、旅館施設内の電話からタクシーを呼んだ。
UWF勢は5~6人なので、手配したタクシーは2台。
程なくしてタクシーが到着。
古舘らは、若くて筋肉モリモリでパンツ一丁の体のデカイ泥酔した連中を、タクシーに押し込む。
1台のタクシーに5人乗ろうとするなどの小さなトラブルもあったが、運転手が怯える中、UWF勢はなんとか2台のタクシーに乗り込んで宿泊ホテルへと帰って行った。
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